諸事情によりしばらく文章のみの更新となります。イラスト、マンガは後から足していきます。

初めての「おめでとう」

初めての「おめでとう」

前回のあらすじ
診察が終わり、会計の列に挑んだものの呼び出しにより離脱を余儀なくされた私。
理由は先生が、お薬手帳と診察カードを返し忘れたから…。
がっかりした私に忍び寄る影が!

妊娠は秘密…

「あきちゃん?やっぱり、あきちゃんだ」

先生&私のうっかりにより舞い戻った婦人科・産科フロアで偶然にも知人がいた。
何度も会っているし、飲んでいるし、会話もするが連絡先の交換などはせず友達ではない知人という状態が10年以上続いている関係。

「さっき似ている人がいるなと思ったらやっぱりそうだった、久しぶり」
知人は、母親らしき人と一緒に待合室の椅子に座っていた。

「あー、久しぶり。びっくりした」
全然気づいていなかった私としては本当にびっくりとしか言いようがない。

しかも妊娠したことは必要に迫られて職場の上司には告げたが、他には誰にも言っていない状態。
平静を装って、いや、びっくりしてるんだから装えていないんだけど、この場をどうしようか空回りする高速回転で考えまくっていた。

「どうしたの?」

病院で合っているのだから聞かれても不思議ではない質問でジャブを打ってくる知人。

妊娠はまだ秘密である。
知人にさらりと打ち明けるのに少し躊躇し
「筋腫。この病院に今日初めて来たから迷子状態だよ」

と、嘘ではない理由で返答。

「あー、そうだよね」
と、知人。
そう、私がいる側は婦人科。

知人がいる側は産科。
(※この病院では、妊娠9週目までは婦人科、それ以降は産科で診てもらう事になっている)
「そっちは、どうしたの?」
もう、答えは分かっている気がするけど質問を投げかける。

「妊娠だよ」

いたってシンプルな返答。

秘密崩壊

「いや、私もなんだけどね」

さらりと返ってきた答えに私もさらりと、告げてしまいました。

「おめでとう」
と返してくれる知人。

「いや、筋腫が大きくてどうなるか分からなくて転院してきたんだけどね」
改めて、真実を告げる。

「んー大丈夫だよ」

と、言葉をくれた。
この知人、仕事が医療関係。

医療に携わっている人の「大丈夫」という肯定の言葉が、実際には私の詳細を知らないとしても、とても、とても勇気づけてくれた。

「何週なの?」
と聞くと
「9週」
と、またまたシンプルな返答。

「わー先輩だ」

そんな何気ない会話を少ししてから、知人に「お大事に」と伝え、知人と、知人の母に会釈をしてその場を後にした。

ちょっとおセンチ

知人と離れてから、頭の中では色々な思いが駆け巡った。

何よりも初めて「おめでとう」と言われたことが、自分にとってすごくうれしい事だというのが驚いた。
妊娠してから初めて祝福を受けた。

私のお腹の中にいる子が「おめでとう」と言われるべき存在なのだ。
こどもが出来てうれしい。
おめでとうと言われてうれしい。

そう思えることもうれしい。

そして悲しい。
今まで誰にも「おめでとう」と言われなかった事が悲しい。

同居人の立場もあるし、子宮筋腫のこともあるので両親には何も言っていない。
知人は、母親同伴で病院に来れてうらやましい。

いい年して何を考えているんだろう。

あぁ妊婦になるっていうのはこんなに感情が揺さぶられるものなのか…。

って、私はいい年して知人の母にきちんと挨拶もしていないじゃないか。
なんてこった。